サウジアラビアのカショギ氏が惨殺されたのは10月2日。その後、俺は「孫正義の言葉が聞きたい」という記事をアップした。そして昨日、孫は公の席ではじめて事件について語った。ソフトバンクの決算発表だったので、さすがに逃げきれなかったようだ。
俺の感想は、予想通りだったとは言え、「失望」の一語に尽きる。自分が良心を備えた「正しい人」だとアピールする一方、「悪い人」との金儲けは今後も続けていく、と表明されても拍手はできない。
孫はカショギ事件について「決してあってはならない、大変悲惨な事件だと認識している」と述べ、「真相解明と、責任ある説明がなされることを願う」と弁護士と打ち合わせたのであろう通りに答えた。事件の首謀者とされるムハンマド皇太子に会い、自らの懸念を直接伝えたそうだが、それも会見でのパフォーマンス向けとことは見え見えだ。で、結論はと言うと、サウジの出資を受けた投資会社は継続するというもの。何でも、サウジ経済の多様性をすすめる責務があるんだそうな。裏を返せば、報道の自由や政治面における多様性に対する責務はないという宣言だわな。
ムハンマドの機嫌を損ねて5兆円を引き上げられたら、孫やソフトバンクには再起不能なくらいの大打撃になるだろう。多少の良心なんか犠牲にしたって、ファンドや会社を守るため、孫は経営者として苦渋の決断をくだしたという見方もできるかもしれない。でも俺に言わせれば、儲けに目がくらんで毒饅頭を食った孫に同情の余地はない。
みじめなり、孫正義。あんたのファーストネームが泣いているよ。